2014年01月09日

聖夜乙女雪乃 四章(6)

ネージュの前から逃げ出した私は、フラフラと当ても無く街を彷徨う。

それほどまでに、ネージュに言われた言葉は私には衝撃的だった。

『ずっと、一緒に頑張ってきたのに……』

心の中でポツリと呟いてしまう。

ネージュは私が必要ないと言った。

魔力が戻ってきているとも。

ネージュの魔力が戻って来たことは良いことだと思う。

私は、ネージュのその言葉を聞いたとき、これからは二人で戦えると思った。

化け物に苦戦しながら、苦労しながら、それでも二人で協力して化け物を撃破していく。

ネージュと二人で励まし合いながら化け物たちと戦っていく日々。

そんな日々も悪くはないと思っていたのに。

//雪乃
「どうして……どうしてそんなこと言うのよ……」

私の胸に刺さって抜けないネージュの言葉。

いくら私が考えないようにしようとしても、ネージュの残した言葉はジワリと雨が地面に染み込むように私の心に広がっていく。

その度に胸が締め付けられるように痛み、心が黒く塗りつぶされていく。

『もう、私は彼女にとっては必要じゃないんだ……』

色々と塞ぎ込んで考えても、出てくる結論はそればかりだ。

自分がもう必要ではない。

それは私にとっては死刑宣告にも等しい言葉だ。

暗かった、誰にも必要とされていない頃の記憶が蘇る。

あの時の私も誰にも必要とされずに、ただ惰性でその日その日を生きていた。

また、あの頃の自分に戻ってしまうのだろうか。

何の感情も持たずに生きて、世の中がモノクロームのように見えていたあの頃に。

一度その世界から脱出できた私には、あの頃の生活は地獄でしかなった。

もうあんな世界などには二度と戻りたくは無い。

だったらどうすれば良いのだろうか。

恥も外聞も捨てて、一緒に戦いたいとネージュにお願いすれば良いのだろうか。

だけど、私を必要ないといったネージュが私が戻ってくるのを許してくれるわけが無い。

どうしてこんなことになってしまったのだろう。

私は、ずっとネージュと上手くやっていけていたと思っていたのに。

彼女はそうではなかったのだろうか。

あれやこれやと考えてみるけれど、私は結局当事者ではないので何もわかるわけがなかった。

トボトボと歩いている私の頭上で遠雷が鳴り響く。

空はどんよりと曇り始め、今にも雨が降りそうだ。

黒い雲に覆われ始める空を見上げる。

それはまるで、自分の胸が不安や悲しみという名の雲によって塗りつぶされていくかのような光景だった。

自分が他人に必要とされない時の寂寥感がふくれていく。

//雪乃
「私は……やっと、やっと他人に必要とされたと思っていたというのに……」

ネージュと一緒になって戦ってきた日常が突然壊れてしまった。

それはつまり、私はその世界から切り離されて一人きりになってしまったということなのだろう。

『嫌だ……そんなの……嫌だよ……』

自分の身体が小刻みに震えているのがわかる。

私は自分の手を両肩にまわして、ギュッと自分を抱きしめる。

そうしないと、私はもう立ってはいられない。

//雪乃
「っくっ……ふっ……ふぅっ……」

視界が潤んでいき、私は涙がこぼれそうになるのを必死に耐える。

ここで泣いてしまったら、ますます自分が惨めになるだけだ。

唇を硬く結んで、私は泣くのを堪える。

そんな中、私の頬に水滴が当たる。

//雪乃
「えっ?」

空を見上げると、ポツポツと水滴が地面へと降りてきていた。

//雪乃
「雨……」

落ちてくる水滴は段々と激しさを増し、あっという間にアスファルトの地面が水を吸って黒く染まっていく。

周りの人たちは屋根のあるところに避難したり、傘を開いたりしている。

だけど私は雨中に立ったままだ。

その間にも勢いを増す雨は私の身体を容赦なく濡らしていく。

このままここで突っ立ていたら風邪を引いてしまうかも知れないというのに、私は動かない。

//雪乃
「雨まで降ってきちゃった……」

うわ言のように呟いて、私は真っ黒な雲に覆われた空を見上げる。

全身を雨に打たれながら、私はこれでもう泣いても誰にもわからないかなとそんなことを思っていた。

//猫
「にゃー」

突然、私の足元から猫の鳴き声が聞こえた。

空を見上げていた私は、自分の足元へと視線を移す。

//猫
「にゃー」

私と目が合って、猫はまた一声鳴いた。

そして自分の頭を私の足元へとこすりつけてくる。

//雪乃
「なぁに? 私に何かようなの?」

//猫
「にゃー」

私の問いに答えるように猫が鳴く。

実際は私の言葉などわかってはいないだろう。

雨に追われている中で、たまたま雨宿り先に私を選んだだけなのかも知れない。

首輪もしていないし、野良猫なのだろう。

野良猫であるこの猫も、雨に追われて行くところがないのだろう。

飼い主のいる暖かい家などないのだから。

//雪乃
「一人は寂しい?」

猫は答えない。

ただ私の足に頭をこすりつけてくるだけだ。

//雪乃
「私はね、いまちょっと寂しいんだ」

手を差し伸べて、私は猫を抱え上げる。

雨に打たれて寒いのだろうか、猫は小刻みに震えていた。

//雪乃
「寒い?」

私は猫を胸に抱いて雨から守ってあげる。

猫はニャーと鳴きながら私の胸の中で大人しくして私を見つめている。

私には、この猫が自分のように思えて仕方がなかった。

雨に追われて行くところなどなく街を彷徨うことしかできない。

この猫には頼るものは何も無いのだ。

それはネージュに必要とされなくなった自分と同じだ。

そう思えた私は、雨の降る中、猫を抱きながら寂しさに身体を震わせていた。





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2014年01月08日

聖夜乙女雪乃 四章(5)

亜種という名の化け物に出会った次の日。

私はネージュに改めて話を聞こうと公園で待ち合わせをしていた。

ベンチに座りながらネージュを待っていると、トコトコとネージュがこっちに歩いてくるのが見える。

//雪乃
「こっち〜」

ネージュに声をかけて手を振ると、彼女もこっちに気がついて早足で近づいてくる。

//ネージュ
「ごめんね、待たせちゃったかな」

//雪乃
「ううん、そんなことないよ」

型通りの挨拶をして、私たちはベンチに腰をかける。

空には雲ひとつ無い青空が広がっている。

遠くでは公園で遊ぶ子供たちの声が聞こえてきて、とてものどかな午後だった。

こんな平和な時間なのに、私たちはこれから重い話をしなければならない。

気が重い。

それはネージュも同じなのか、どこか遠い目をして黙っていた。

だけど、お互いに黙っていても何も始まらない。

意を決して、私は口を開いた。

//雪乃
「この前の亜種って何だったの?」

//ネージュ
「わかりやすく言うとね、化け物の上位種かな」

//雪乃
「上位種?」

何もわからない私はネージュの言葉をオウムのように聞き返すことしか出来ない。

それを察したのか、ネージュはさらに言葉を続けていく。

//ネージュ
「そのままの意味よ、化け物が進化して強くなった固体のこと」

//雪乃
「進化……」

//ネージュ
「そう、網を張るという特殊能力を持って強くなった固体、それが亜種」

特殊能力。

確かに先日遭遇した亜種は私たちを現世に戻さないという網を張っていた。

それは今まで私が戦ってきた化け物たちとは違う。

今までは直接襲ってきた固体ばかりだったけれど、これからは亜種のように間接的に襲ってくる個体もいるということなのだろう。

//雪乃
「特殊能力を他にも持ってる亜種っているの?」

思いついたことをそのまま口にする。

ネージュは無言で頷いて言葉を続ける。

//ネージュ
「特殊能力を持った亜種はそれこそたくさんいるわ、私でも全体はよくわからないもの……」

//雪乃
「そ、そうなんだ……」

ネージュの言葉が重い枷となって私の心に重くのしかかる。

これからは近接だけではなく、遠距離の特殊能力にも気をつけて戦わないとならない。

実際に相対してみないと能力のわからない亜種だっているということは、ただ接近戦闘をしただけでは勝てないだろう。

攻撃を吸収してしまう亜種や倍にして返してくる亜種だっているかも知れないのだから。

//ネージュ
「亜種はいままで戦ってきた化け物とは桁違いの強さを持っているわ。戦いもこれからはさらに危険になってくるわね」

//雪乃
「で、でしょうね……」

はっきりと断言するネージュの言葉に私は不安を覚えてしまう。

不安が私の顔にも出たのだろう、ネージュが私を見て優しく微笑む。

//ネージュ
「大丈夫よ、あなたにはもう負担はかけないから」

//雪乃
「えっ?」

//ネージュ
「今まで協力してくれてありがとう。自分にも力が戻って来たしもう大丈夫」

ネージュは力強く口を開き、拳を握る。

確かに魔力が戻ってきているのだろう、ネージュの拳からは魔力がオーラのように立ち上り揺らめいている。

それに先日、ネージュはあっさりと亜種を倒している。

だったら亜種との戦いはネージュに任せてしまって、私はフォローに回った方が良いのかも知れない。

//雪乃
「で、でも……」

//ネージュ
「相手が強力になってきた以上、これから先は危険だから無理に付き合わなくて大丈夫よ」

危険という言葉を聞いた途端、私の口の動きが止まりそれから先が何も言えなくなってしまう。

危険なことは確かに嫌だ。

逃げられるなら、逃げたいし、『化け物』や『夢憑き』や『亜種』となんて率先してまで戦いたくはない。

だけど、そんな危険もネージュと二人だから乗り越えてこれたのだ。

私はずっとネージュと一緒に戦っていくと思っていたのに。

それなのに、ネージュの口から出たのは私が欲しい言葉ではなかった。

『危険だけど、それでも一緒に戦ってくれる?』

そう言ってくれればいいのだ。

それだけで、私は頑張れる。

亜種だって何だって全力全開で向かっていけるのに……。

『彼女はもう、私を必要とはしていないのだろうか……』

疑念が胸に湧き上がる。

ネージュは魔力が戻ってきていると言った。

魔力が戻ったネージュは私など比べ物にならない位に強いのだろう。

それは亜種をあっさりと倒したことでも明らかだ。

だとしたら、まだまだ力の足りない私は足手まといということになってしまう。

いくら強くても私を守りながら戦うとしたら、万が一ということもあるかも知れない。

だから彼女は私はもう必要ではないと言ったのだろうか。

『やっぱり、邪魔なのかな……』

不安や悲しみや悔しさがごちゃ混ぜになった言葉に出来ない感情が私の心を支配していく。

どうしようもなくなった私は、ネージュを置いて、その場から走り出していた。

//ネージュ
「え、ちょ、ちょっと、突然どうしたのよっ」

背後からネージュの声が聞こえる。

だけど私は振り返ることなく、ネージュから逃げ出したのだった。





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聖夜乙女雪乃 四章(4)

//ネージュ
「も、もしかしたら……」

//雪乃
「な、なに、何かわかったの?」

//ネージュ
「ちょっと待ってね……」

ネージュは私にそう言うと、目を瞑って集中し始める。

魔力の薄い光がネージュを包み込んでいく。

淡い光を発光させながら、ネージュが呪文のようなものを唱える。

私には何を言っているのかわからなかったけれど、きっと何かの術なのだろう。

それから数分して、呪文を唱え終わったネージュが目を開ける。

目を開けた途端に淡い光は空気中に溶けるように消えていった。

//ネージュ
「ちょっと大変なことになったかも」

//雪乃
「た、大変なことって?」

ネージュの口から不意に出た言葉に私の身体が硬直するのがわかる。

私たちがここから出られない原因をネージュはさっきので突き止めたのだろう。

そして、言葉通りに何か大変な問題が起こっているのを確信したはずだ。

息を飲んで、私はネージュの言葉を待つ。

//ネージュ
「この場所には亜種がいるかもしれない……。いえ、多分いるわ」

真剣な眼差しでネージュが私に告げる。

//雪乃
「亜種?」

聞いたこともない単語に、私は思わずそのままの言葉を聞き返してしまう。

//ネージュ
「亜種っていうのは、獲物を逃がさない為に『網を張る』の」

//雪乃
「あ、網?」

私の言葉にネージュが頷く。

網を張られている。

その言葉に、私は大きな蜘蛛のような相手を想像してしまう。

『それはちょっと……き、気持ちが悪いなぁ』

グロテスクな姿を想像してしまった私は、肌がゾワリと粟立つのがわかる。

//ネージュ
「この世界から脱出するには、網を張って私たちを逃がさないようにしている亜種を倒すしかないわ」

//雪乃
「やっぱりそうなのね」

どうやら私は巨大な蜘蛛の化け物と戦わなければならないようだ。

あんまり昆虫系は得意じゃないのだけど、大丈夫かなぁ。

上手く戦えるだろうか。

巨大な蜘蛛のような化け物に怖気づかずに、尚且つ攻撃を加えることができるかなぁ。

自分の拳を見てそんなことを考えてしまう。

生身の拳で化け物を殴ることには慣れてしまったけれど、蜘蛛はどうだろう。

しっかりと魔力を込めて殴れるのだろうか。

//雪乃
「う、う〜ん……」

//ネージュ
「そんなに怖がることはないわよ」

//雪乃
「そ、そうかな……」

//ネージュ
「ええ、亜種と言われてはいるけれどそんなに強くはないから大丈夫よ」

//雪乃
「な、なるほど」

そんなに強くは無い。

その言葉は心強いものだったけれど、外見はどうなのだろう。

やっぱり蜘蛛なのだろうか。

最初に知っていれば心構えも違うし、聞こうかどうか迷ってしまう。

//雪乃
「え、ええと」

//ネージュ
「ちょっと待ってね、いま亜種のいる場所を見つけるから」

//雪乃
「あ、あ、うん……」

ネージュは亜種を見つける為に再び集中していく。

私は聞くタイミングを逃してしまってうなだれてしまう。

『仕方ない、聞くのは諦めて倒すことに集中しよう。どうせ聞いたところで戦うのは私だしね』

半ば諦めの気持ちで、私は集中しているネージュの隣でジッと待つ。

ネージュの身体が魔力で淡く光り始め、亜種を探すために呪文を唱え始める。

//ネージュ
「見つけた……」

ネージュが呟いて、亜種がいるであろう場所を見つめる。

//雪乃
「あっちにいるのね」

//ネージュ
「ええ、ここからそう離れてはいないわ」

//雪乃
「了解、それじゃちょっと行ってくる」

戦う為の気合を入れて、私は亜種のところへと駆け出そうとする。

突然の出来事に呆気に取られてさっきまで忘れていたけれど、私の尿意はもう限界が近い。

さっさと亜種を倒してしまわないと色々な意味で危険だった。

//ネージュ
「何か動きがおかしいわよ、怪我でもしたの?」

//雪乃
「ううん、そういうわけじゃないけれど……」

気にすれば気にするほど私の尿意が高まっていく。

モジモジと太ももをこすり合わせる私の様子にネージュが怪訝な顔をする。

//ネージュ
「本当に大丈夫なの?」

//雪乃
「た、たぶん……もうちょっとなら持ちそう」

素直に答える。

あと少しなら持つとは思うけれど、私はそこでふと気が付いてしまう。

この状態で亜種とやらと戦って果たして大丈夫なのだろうか。

何かの拍子で漏らしたりはしないだろうか。

それどころか、尿意が気になって果たしてちゃんと戦えるのだろうか。

嫌な考えばかりが頭をよぎるが、今の私の状態ではそのどれもがありそうなことだった。

//雪乃
「う、うーん……」

ネージュの他にはこのモノクロームの世界に人はいない。

だったら恥ずかしさを我慢して、どこかビルの隙間ででも済ましてしまおうかとも考える。

だけど、さすがにそれは羞恥心が邪魔をする。

『でも、このままだと絶対に危ない……我慢できる自信が無い』

//ネージュ
「ね、ねぇ、本当に大丈夫なの?」

//雪乃
「た、たぶん……」

プルプルと小刻みに震えながら答える。

//ネージュ
「た、多分って……やっぱりどこか怪我をしたのっ?」

慌てた様子でネージュが私の肩に手を置いて身体を揺さぶり始める。

おしっこを我慢している私にそれは辛かった。

//雪乃
「ちょっ、ま、まって……も、漏れちゃうっ……漏れちゃうからっ」

//雪乃
「へっ?」

私の必死の叫びにネージュの動きが止まる。

その隙に、私は自分が漏らしそうなことをネージュへと伝える。

ネージュは一瞬呆気に取られて私の様子をマジマジと眺めた後、声を上げて笑い出していた。

//ネージュ
「あ、あはははっ……そ、そうなんだっ……あはっ……あはははっ……」

//雪乃
「ちょ、ちょっと笑わないでよねっ。こ、こっちは本当に切羽詰っているんだからっ!!」

//ネージュ
「ご、ごめんっ……あ、あははっ……はぁっ、はぁっ……」

ネージュは必死に笑いをこらえて深呼吸している。

そんなにおかしかったのだろうかと私はちょっとだけムッとしてしまう。

//ネージュ
「ご、ごめんさない。謝るからそんなに怖い顔しないで」

//雪乃
「べ、別にそんな顔なんてしていないわよ」

//ネージュ
「あなたがそんな状態なら仕方ないから、亜種は私が倒してくるわね」

//雪乃
「えっ?」

ネージュの突然の言葉に私の動きが止まる。

確かネージュは魔力をほとんど失っているのではなかっただろうか。

それなのに亜種なんかと戦って大丈夫なのだろうか。

思案顔の私の様子を察したネージュが微笑む。

//ネージュ
「亜種の一体位なら私の少ない魔力でも何とかなるわよ」

ネージュは私の目の前で力強く笑った。

//雪乃
「私も手伝う」

//ネージュ
「平気よ、大丈夫だからそこで待ってなさいな」

私にそう告げると、ネージュは亜種のいるであろう方向へと走り出していく。

慌てて後を追おうとするけれど、尿意が邪魔をして全力で走れない。

//雪乃
「あ〜、もぅっ!!」

自分に腹が立ちながらも、私はヘロヘロとネージュの後を追う。

だけど全力で走れない私とネージュでは元々のスピードが違う。

ネージュはあっという間に私の視界から消えていく。

//雪乃
「ちょっ、ちょっと待ってよぉっ!!」

ネージュの背中に声をかける。

//ネージュ
「大丈夫だから待っててっ!!」

//雪乃
「そういうわけにもいかないでしょっ!!」

私の返事も虚しく、ネージュは私の視界から完全に消えてしまう。

//雪乃
「も、もぅ……や、やられちゃったりしても、ぜっ、絶対に助けてなんかやらないんだからぁっ!!」

尿意を我慢しながら走るのは子供のように遅かったけれど、私はそれでも歩みを止めない。

見失ってもネージュの気配なら感じることができる。

気配を頼りにして、私はネージュの後を追っていった。

ネージュの気配を追ってから暫くして、遠くから大きな音が響いてくる。

どうやらすでにネージュが亜種と戦っているようだ。

慌てて私は音のする方へと近づいていく。

//ネージュ
「やぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

私がネージュの姿を視認した時、彼女は魔力を亜種の頭部へと叩き込むところだった。

魔力を流し込まれた亜種は不気味な叫び声を上げてその身体を地面へと横たえていく。

ネージュは無傷で、圧勝と言って良い位の勝ちっぷりだった。

//雪乃
「す、すご……」

あまりの圧勝ぶりに私は呆然とその場へと立ち尽くしてしまう。

まだ完全に魔力は回復していないはずなのに亜種とやらを完全に子供扱いだ。

私が戦っていたら果たしてこんなに簡単に勝てただろうか。

『私ってまだまだ何だなぁ……』

ある程度戦闘にも化け物にも慣れてきたかと思ったけれどネージュほどじゃない。

まざまざと自分の実力不足を思い知らされてしまった。

//ネージュ
「う〜ん、やっぱりまだまだ魔力が回復してないわねぇ」

自分の拳を見てネージュが不満を漏らしている。

魔力が完全に回復したら、ネージュは一体どれほどの力を発揮するのだろう。

そんなことを想像してしまい私はゴクリと喉を鳴らしてしまう。

//ネージュ
「あら、来てくれたんだ? 付いてこなくても大丈夫だったのに」

//雪乃
「そ、そうみたいだね……」

//ネージュ
「それより、大丈夫なの?」

ネージュは不思議そうな顔で私を顔を覗き込む。

//雪乃
「な、何が?」

//ネージュ
「おしっこ、漏れそうなんでしょ?」

//雪乃
「ふぁぁぁっ!?」

ネージュの戦いを見ていたせいですっかり忘れていた。

私の顔から冷や汗がだらだらと流れる。

//ネージュ
「ちょっ、ちょっと、大丈夫なの?」

//雪乃
「も、もう駄目……かも……?」

私の心の防波堤はもう決壊寸前だ。

この場所には私とネージュしかいない。

だったら、この際、もうここで漏らしてしまっても良いのではないだろうか。

いや、漏らしたところは見たくはないから最後の力を振り絞ってこの場から離れて。

いや、ネージュにどこかへ行ってもらった方が良い。

//ネージュ
「うわぁっ、目が、目が空ろになってる」

//雪乃
「も、もう……げ、限界……」

//ネージュ
「ちょっと待ってて、今すぐに元の世界へ戻るから」

//雪乃
「へっ?」

ネージュはそういうと、すぐに呪文を唱える。

その途端、ものクロームの世界に日々が入り、ガラスが割れるかのように世界が粉々に砕け散っていく。

その向こうから色とりどりの現世の景色が現れて、さらにラッキーなことに数メートル先に公園が見えた。

//雪乃
「た、助かった……」

私はヨロヨロと危うい足取りで公衆トイレへと歩いていく。

//ネージュ
「おんぶして連れて行ってあげようか?」

//雪乃
「だ、大丈夫。おんぶしてもらったら漏らしちゃうかも知れないから……」

//ネージュ
「そ、そう……が、頑張ってね……」

ネージュのエールを背中に受けながら、私は公衆トイレへとゆっくりと向かっていく。

結果だけを言うならば、私は何とか漏らさずに用を足すことができたのだった。


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聖夜乙女雪乃 四章(3)

//雪乃
「よし、もう残りはいないわね」

化け物との戦いを終えて、私は拳に魔力を込めたまま辺りを見回す。

自分の足元に無残に転がっている化け物の他に、辺りに化け物の気配はない。

それでも一応さらに集中して魔物の気配をさぐるけれど、やっぱり邪悪な反応はないので私はそこでやっと一息つく。

//雪乃
「ふぅ……」

今回モノクロームの世界に居たのは、どうやらこの一匹だけだったのだろう。

見下ろした先にいる化け物はピクリとも動かない。

完全に絶命している。

もう普通の化け物程度ではそんなに苦戦することもなくなった。

それに、死体を見ても慣れてしまって特に何も感じない。

完全に魔法少女役が板についてきたなと思わす私は苦笑してしまう。

現実とはかけ離れたモノクロームの世界にも魔法少女にも慣れてしまった自分が少しだけおかしかった。

『さて、いつまでもここに居ても仕方ないし帰ろうかな』

化け物も退治したし、他にはもうこの世界に用の無い私は現実世界へと帰ろうとする。

だけど、何故かそれが上手くいかない。

//雪乃
「あ、あれっ?」

いつもならすんなりと元の世界へと帰れるはずなのに、何故か私の身体はこっちの世界に残ったままだ。

冷や汗をかきながら、私は魔力を集める為に集中していく。

だけど、いくら魔力を集めても私は元の世界へと帰れない。

さすがにこんな事態は始めてなので、私は焦ってしまう。

//雪乃
「ど、どうしよう……」

どこかに倒し損ねた化け物がいるのだろうか。

その影響で元の世界へと帰ることが出来ないのだろうか。

でも、いくら集中してみたところで化け物の魔力なんて欠片も感じない。

魔力を悟らせないタイプの化け物なのだろうか。

私が知らないだけで、実はかなりの種類の化け物がいて、その中にはそういうタイプの化け物がいてもおかしくはない。

//雪乃
「あれ、それってもしかしてかなりヤバくない……」

魔力を感知させないタイプの化け物が私をここに閉じ込めた。

そう仮定すると、私は化け物を見つけ出すことが出来ないので、ここに閉じ込められたままになってしまう。

大ピンチだ。

食べ物も飲み物もないこんな世界に閉じ込められたら私は死ぬしかない。

//雪乃
「うぁぁぁぁ」

絶望感に、私は頭を抱えてしまう。

生き物の気配が全くしないモノクロームの世界に居続けたら、死ぬ前に気が狂ってしまうかも知れない。

//雪乃
「と、とりあえずもう一度しっかりと集中して……」

自分の生死がかかっているのだ。

私はこれまで以上に魔力を集中して、モノクロームの世界を探っていく。

ちょっとした変化でも見逃さないように魔力を集中しながら探っていくのは非常に疲れる。

だけど弱音は吐いていられない。

疲労感を漂わせながらも、私は集中を途切れさせない。

//雪乃
「んっ!?」

そんな中、私の魔力の網に何かが引っかかった。

『人間? あ、この気配は……』

気配は私の方へと近づいてくる。

走っているのか、結構なスピードだった。

これならすぐに私と接近遭遇することだろう。

そして、気配の主はすぐにそこの角から私の前へと現れる。

//ネージュ
「だ、大丈夫?」

息を切らせて私の前に現れたのは、見慣れた顔のネージュだった。

ネージュもこの世界の異常がわかっているのか、その顔は慌てている。

//雪乃
「大丈夫ではないかなぁ……。化け物は倒せたんだけど……か、帰れなくなっちゃった……」

淡々と事実を述べるけれど、いまこの時点ででも不安ばかりが増していく。

//ネージュ
「や、やっぱり……」

私の言葉を聞いたネージュの口からはそんな言葉が漏れた。

//雪乃
「やっぱりってどういうこと?」

//ネージュ
「どうやら……この世界に閉じ込められちゃったみたい……」

//雪乃
「そ、そういうことって良くあるの? そ、それとも化け物の仕業なの?」

ネージュに詰め寄って問いかける。

私の剣幕に驚きながらもネージュは首を横に振る。

何もわからないということなのだろう。

ネージュの様子に私の身体から力が抜けていってしまう。

//ネージュ
「何も原因はわからないけれど、こいうことも起きうるのよ……」

//雪乃
「そ、そうなの?」

//ネージュ
「ええ、この世界は驚く程に不安定で、そして理解できない事も平気でそれが当然とばかりに起こるから」

//雪乃
「えええええ……」

ネージュ
「私もこんな事態に遭遇したのは初めてだし、どうしたら良いのか……」

ネージュの口から語られるのはネガティブなことばかりだ。

理解できないことが平気で起こる世界。

ネージュの言葉を噛み締める。

確かに現実世界と瓜二つのモノクロームの世界なんて存在がすでに理解できない。

//雪乃
「考えてみれば、魔法少女とかいう私の存在も理解できないものの一つだもんねぇ……」

思わず呟いてしまう。

呆けている私の様子にネージュが困った顔をしている。

何か声をかけたいけれど、ネージュにもこうなった原因がわからない以上は下手なことは何も言えないのだろう。

二人で困惑顔を浮かべてしまう。

今の私たちにはこの事態に対処するだけの情報も手段も何もない。

つまり、出来ることが何一つ無いのだ。

//雪乃
「うーん……」

//ネージュ
「………………」

お互いに無言で、ただ時間だけが過ぎていく。

いくら考えたところで原因も何もわからないんじゃ良い案なんて浮かぶわけが無い。

答えの出ない難問にどうしたら良いのか私もネージュもわからない。

そんな中、私の身体がブルリと震える。

こんな切羽詰った状態の時でさえ、生理現象というものはやってくる。

//ネージュ
「どうしたの?」

もじもじしている私の様子に気が付いたネージュが話しかけてきた。

//雪乃
「いや、ちょっとおトイレに行きたいなぁって……」

//ネージュ
「あ、そうなんだ」

気まずい沈黙が流れてしまう。

我慢しようと思えば思うほどに私の尿意は高まっていってしまう。

私の意識は、いつの間にかこの世界からの脱出方法よりも尿意をどうするかの方へと切り替わっていた。

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聖夜乙女雪乃 四章(2)

//雪乃
「ふぅ……」

『夢憑き』を倒し終えた私は現世へと舞い戻る。

さっきまで戦っていたモノクロームの世界とは違い、こちらの世界は騒々しい。

色々な生活音が混じり合って賑やかだし、うるさいとすら思ってしまう。

だけどそれもたった数時間で慣れてしまう。

やっぱり音も色も無い世界よりは、騒々しくてもこっちの世界がいい。

いつの間にか、私はそんな風に思っていた。

最初の頃に私が思っていたこととは180度も意見が違う。

化け物たちと戦っているせいだろうか、私はいつしかこの世界に愛着のようなものを持っている。

『本当に……おかしいよね』

苦笑してしまう。

ともすれば、世の中を斜に見て無関心に構えていた私が世界を守っているのだ。

こんなストーリーはハリウッド映画でさえなかなかお目にかかれないのではないだろうか。

戦いで疲れた身体をいたわりながら、私は歩道を歩いて自宅へと向かう。

最初は戦いの度に疲れきっていた私の身体も、何度も何度も戦闘をこなしていくうちに段々と強くなっている。

だから休憩を取らなくてもすぐに家路につける。

もちろん家に着いたら休むけれど、もう途中で倒れそうになるようなこともない。

//雪乃
「やっぱり、慣れてきたんだなぁ」

自分の手を閉じたり開いたりしてみる。

たったそれだけのことなのに、まだ残っていた魔力の残滓が手の平でパチパチと小さく音を立てる。

他の人に見られたら何を言われるかわからないので、私は慌てて魔力を拡散させる。

あっという間に魔力は空気中へと解けて消える。

『危ない、危ない』

まさか自分がここまで戦闘に慣れるとは思わなかった。

もうほとんど無意識に魔力を使いこなすことさえ出来るようになっている。

殴ろうと思えば、私の拳には当たり前のように魔力が宿っている。

もし現世で喧嘩なんてしたら大変だ。

『まぁ、しないけどね……』

また苦笑してしまう。

どうも最近の私はおかしい。

先日の出来事でふっきれたからなのか、色々なことに慣れてきているように思う。

戦いにも、自分の気持ちにも、この非現実的な出来事にも……。

改めてそんなことを自覚しながら、私は自室へとたどり着く。

自室について安心して、私は大きく伸びを一つ。

それから手や肩を回したり身体に怪我などがないか確かめる。

うん、小さなかすり傷はあるけれど、今日もほとんど無傷だ。

自分の身体の無事を確認しながら、私は部屋着へと着替え始める。

//雪乃
「…………」

上着を脱いで下着姿になったところで私は着替えの手を止めた。

部屋にある鏡に自分の姿が映る。

私の視線は、自分の下半身で止まっていた。

自分の部屋なのに、さらに誰もいないことがわかっているのに、私は辺りをキョロキョロと見回してしまう。

当然だれもいない。

それを嫌になるくらいに確認しながら、私は自分の下着に手をかけて一気にずり下ろした。

私の下半身が外気に触れてちょっと寒い。

スースーする下半身の寒さを我慢しながら、私は自分の股間へと恐る恐る手を伸ばす。

普段は決して触ること無い部分なので、自分のとわかっていても緊張してしまう。

//雪乃
「あぅっ……」

私の指に自分のヒダが触れて、私は思わず声を漏らしてしまう。

誰もいないとわかっているのに、恥ずかしくてもう片方の手で無意識に口を抑える。

そして、小さく深呼吸。

『よし、もう大丈夫……』

自分が落ち着いたのを見計らって、私は再び自分の股間へと手を伸ばしていく。

もうヒダに指が触れても声は上げなかった。

だけど、鏡で見てもわかるくらに、私のヒダは明らかに外へとはみ出していた。

わかっていたことだとはいえ、ショックを受けてしまう。

確かめなければ良かったかなとも思う。

自分の大事な部分が汚されて傷ついて、気にならないといえば嘘だけど、絶望するほどでもない。

私はもうそんな気持ちを乗り越えたのだから。

それに今、私は自分のことを少しだけだけど、本当に少しだけだけど、気に入り始めている。

世の中に興味というものがなかった自分がネージュと一緒に戦うことを選んだからだ。

この傷は化け物や夢憑きと戦った証だ。

確かに見た目は悪いし、心にも多少の傷はついている。

だけど、それでも私はこんな自分が少しだけだけど誇らしいと思える。

これまで誰かの為に何かをするなんてことはなかったからちょっとだけ気恥ずかしいけれど。

それに、別に正義の味方を気取るつもりはないけれど、私はこれからも頑張っていこう。

//雪乃
「うんっ、寒いし着替えてしまおう」

私は自分に気合を入れるとさっさと新しいパンツを履いて部屋着へと着替え始める。

パンツを履きかえるとき、最後にもう一度自分の下半身を見てふと思う。

変身した後の衣装の時に、肉ヒダが服の上からでもわかっちゃうのが問題かな、とそんなヘンテコなことを思っていた。


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聖夜乙女雪乃 四章(1)

数日後、私はモノクロームの世界を疾走していた。

再び化け物の気配を感じたのだ。

あんなことがあった直ぐ後で恐怖がないと言えば嘘になる。

だけど、戦っているのは私一人だけではないし、私のことをわかってくれる人だっている。

だから私は頑張れる。

人気の無いビルをスピードを緩めずに曲がると、道の先には男の姿があった。

//雪乃
「夢憑き……」

そこに居たのは化け物ではなく『夢憑き』だった。

『夢憑き』の姿を確認した私の足が止まり、私の足音に気が付いた『夢憑き』がこちらに気が付く。

私と『夢憑き』が戦闘体勢をとって見詰め合う。

//男1
「あぁ、もしかしてあの時の女かぁ?」

//雪乃
「えっ!?」

//男1
「あぁ、やっぱりそうだ。俺たちが散々に犯してやった奴じゃねぇか」

『夢憑き』の男が私の顔を見て笑う。

そして、私の脳裏に思い出したくも無いあの時の悪夢が蘇る。

この男が私を犯した『夢憑き』の中に居たかどうかなんて覚えていない。

何せ私は大勢の男たちに犯されてしまったのだから。

だけど、男がそういうのならそうなのだろう。

//男1
「なんだ、また犯されに来たのか?」

下卑た笑みを浮かべながら、男がユラユラと不規則な足取りで近づいてくる。

過去に私と戦って勝ったことによる余裕なのか、男にはさほど警戒している様子が見られない。

//雪乃
「み、見くびらないでよね」

近づいてくる男を睨みつけながら、私は魔力を集める為に集中していく。

男と目が合い、一瞬だけ身体が恐怖を思い出して硬直しそうになるが、必死にそれを押さえつける。

私はもうあの時の弱い私ではないのだ。

ネージュのおかげで、私の中にある気持ちは以前より強くなっている。

だから、あんな男に恐怖することなど何もないのだ。

『集中、集中……』

魔力を右手に集中させる。

自分でも驚くくらいにスムーズに魔力は私の拳へと集まってきた。

『これなら、いけるっ!!』

拳を握る。

それだけで、魔力が拳から溢れ出しそうなくらいのエネルギーを感じる。

//雪乃
「やぁぁぁぁぁぁっ!!」

私は拳を握りながら『夢憑き』の男の元へと突進していく。

全身に魔力を帯びた私はまるで風のようなスピードで一気に男へと接近する。

//男1
「なっ!!」

男のニヤついていた顔が、突然の私の特攻に驚愕の表情に変わり動きが止まる。

私はその隙を見逃さなかった。

//雪乃
「このぉっ!!」

棒立ちになっていた男の懐に潜り込み、渾身の力を込めた拳を男の腹部に突き刺した。

//男1
「ぐふぅっ!?」

魔力を込めた私の一撃の衝撃に、男の身体が九の字に曲がる。

男の頭が下がり、私の手の届く範囲に男の頭が下がる。

//雪乃
「やぁぁぁぁっ!!」

『夢憑き』は頭に魔力を流し込めば倒せる。

今がそのチャンスだ。

私は魔力をたっぷりと込めた返しの左掌底を男の頭に向けて放つ。

//男1
「な、舐めるなぁっ!!」

私の掌底を男が間一髪のところでスウェーでかわす。

そして体勢を崩しながらも私の顔面を狙って拳を放ってくる。

//雪乃
「くっ!!」

私はバックステップで男の攻撃をかわす。

勢いのついた男の拳は止まらずに、豪快に私の目の前で拳は空を切った。

ブオンッという、男の拳で空気が切り裂かれる音が耳に届く。

こんなのを一発でも喰らってしまったら、私はまた動きを止められてしまうだろう。

//男1
「このっ、ちょこまかとっ!!」

空振りをした男が私を睨みつける。

そして間髪居れずにもう一発、今度は横から私の顔をなぎ払うように拳を放ってくる。

私はそれを紙一重でしゃがんで交わし、伸び上がるように身体を起こして男の顎に掌底を叩き込む。

//男1
「ぎひぃっ!!」

悲鳴を上げた男の顔が空へと持ち上がる。

あまりの衝撃に、男の身体は少しだけ宙に浮き上がっていた。

//雪乃
「やぁぁぁぁっ!!」

空中で身動きの取れない男の腹部に、私は右足で魔力のたっぷりこもった蹴りを叩き込む。

//男1
「ぐふぅっ!!」

男の腹部に私の足の裏がめり込んで、男は悲鳴を上げながら吹っ飛んでいく。

アスファルトの道路に激しく叩きつけられた男だったが、ダメージがほとんどないのか直ぐに立ち上がった。

//男1
「こっ、殺してやるっ!! 殺してやるっ!! 殺してやるっ!!」

狂ったように男が叫ぶ。

その目は完全に濁っていて、もう人間性の欠片も感じられなかった。

//男1
「こ、殺してヤル、お、犯しナがら、グチャグチャに殺してヤルよぉぉぉぉぉおっ!!」

幽鬼のように立ち上がった男が、地面を蹴って私へと接近してくる。

『夢憑き』の能力を最大限まで使っているのだろう、かなりのスピードだった。

男はスピードを緩めることなく私へと向かってくる。

//男1
「死ネ、死ネ、死ネ、死ネ、死ネ、死ネぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっ!!」

口からは呪詛の言葉を吐きながら、男は一気に間合いをつめて私に向かって拳を振り上げる。

//雪乃
「くっ!!」

私は男の拳から目を逸らさずに、自分の拳へと魔力を集中させて男の拳にカウンターを合わせる為に踏み込んでいく。

//雪乃
「このぉぉぉぉぉっ!!」

完全にかわしきれなかった男の拳が私の頬を削っていき、激しい痛みが私を襲う。

だけど、私の拳はしっかりと男の顎を捕らえていた。

//男1
「ば、ばかな……」

男の身体がゆっくりと崩れて、男は地面に膝を突く。

目の焦点があっていない男はフラフラとして立ち上がれないようだった。

//雪乃
「じゃあね、バイバイ」

//男1
「くそ、くそくそくそクソクソクソクソ」

私は身動きの出来ない男の頭に手を添える。

後は男の頭に魔力を流し込んで終わりだ。

//男1
「お、覚えてろよ、お前、絶対に犯シて、犯して、犯シテ、死ぬマデ犯シテ、殺してヤルからなぁぁぁぁぁ」

//雪乃
「やれるものなら、やってみなさいよ」

男の頭に集めた魔力を注ぎ込む。

//男1
「あギャッ?」

『夢憑き』の男は、感電したかのようにビクンッと身体を大きく震わせてゆっくりと地面へと倒れ込んだ。

そして、そのまま二度と起き上がってはこなかった。

//雪乃
「ふぅ……」

どうにか『夢憑き』を倒せた私は大きく一息つく。

まだまだ弱い自分かも知れないけれど。

でも、誰かの為に戦うこと。

その気持ちだけで私は頑張れる。

それに、私が頑張っていることを知っている人がいるのはとてもとても心強い。

『ありがと……』

この場所にはいないネージュに感謝しながら、私はモノクロームの世界から帰還したのだった。


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聖夜乙女雪乃 三章(6)

//雪乃
「えっ……?」

サンタ少女の突然の告白に驚いてしまい、二の句が告げない私に、サンタ少女は言葉を続ける。

//ネージュ
「ただ、それでも」

何か決意を飲み込むかのように口調に、私は黙ってサンタ少女を見つめ続ける。

私の真剣な視線に気が付いて、サンタ少女は私を見て少しだけ微笑すると言葉を続けた。

//ネージュ
「私は彼らと戦う事が正しいと思っているし、そうすることで救われる人がいるのを知っている」

そう言いながら彼女が私を見て、私はコクリと頷く。

私の返事に満足したのか、サンタ少女はさらに言葉を続けていく。

//ネージュ
「同じように、あなたは先日私を救ってくれた」

//雪乃
「で、でも……それは……」

//ネージュ
「いいから聞いて。あなたは私を救ってくれた。これは間違えようの無い事実だし、おかげで私は助かったの。だからね」

サンタ少女はそこで言葉を一旦止めて私をジッと見る。

サンタ少女の澄んだ瞳が私を捉え、彼女の瞳に私の姿が写る。

//ネージュ
「あなたがしていることは決して無駄ではないの。それを、理解して欲しい」

力強く言い切って、サンタ少女が私の両肩を掴む。

サンタ少女がそう言ってくれたことは嬉しいけれど、それだけで納得などは出来ない。

頭ではわかっていても、心が彼女の言うことを拒絶していた。

だから私は、彼女から視線を逸らしてうつむいてしまう。

//雪乃
「でも、私は……」

視線を下げた私の先にはサンタ少女の足がある。

彼女はあんなことがあったというのに、しっかりと両足で地面に立っている。

それどころか、私を励ましてまでくれる。

『本当にサンタ少女は強いな……それに比べて私は……』

自分のあまりの弱さに情けなくなってしまう。

気を抜くと泣きそうになってしまうけれど、ここで泣くわけにはいかない。

私が泣いてしまったら、きっとサンタ少女は優しく慰めてくれるだろう。

だけど、そこまでサンタ少女に甘えるわけにはいかない。

身体を硬直させて泣くまいと必死に耐えていると、不意にサンタ少女が私の身体へと手を伸ばしてくる。

私が動かずにいると、サンタ少女は私の下腹部へと手を置いてそこを軽く撫でてくれる。

//ネージュ
「辛いわよね……苦しいわよね……」

//雪乃
「…………」

//ネージュ
「あんな化け物たちにいいようにされて……笑い飛ばすことなんて出来ないと思う」

私の下腹部を撫でながら、サンタ少女は言葉を続ける。

その間も優しい手つきで、ゆっくりゆっくりと愛しそうに私の下腹部を撫でてくれる。

たったそれだけのことなのに、私の固まった心が解けていくかのようなそんな感覚になってくる。

//雪乃
「うっ……あ……」

サンタ少女に向かってなんて言ったら良いのかわからない。

何か言おうとしても、混乱してゴチャゴチャしてしまっている私の頭では上手い言葉が浮かんでこない。

//ネージュ
「あなたが戦ってくれたことを私は知っている」

私の言葉をさえぎって、彼女はゆっくりと言葉を続ける。

//ネージュ
「知っているから、だから、本当に辛かったら……泣いたってかまわないんだよ?」

彼女の言葉に顔を上げた私の目を見ながら、サンタ少女はそう言って笑ってくれた。

//雪乃
「う、うぅっ……うくっ、くぅ……」

サンタ少女の優しい言葉を聞いてしまったら、私にはもう涙をこらえることは出来なかった。

人前だというのに、私の瞳からは涙が後から後からこぼれていく。

一旦泣いてしまったら、それはもう止められなかった。

//雪乃
「うえっ……えっ、うくっ……ご、ごめん、ね……うぇっ……うえぇぇぇ……」

//ネージュ
「もう、何を謝ってるのよ」

泣いている子供にそうするように、サンタ少女が私をギュッと抱きしめてくれる。

温かいサンタ少女の体温が伝わってきて安心する。

『私を理解してくれる人はちゃんといるんだ……』

この胸にある辛さも、苦しみも、悲しみも、それを理解してくれる人がいる。

それは私にとってはとても心強いことだった。





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聖夜乙女雪乃 三章(5)

私は夕闇が訪れている公園のベンチに座っていた。

近くでは、子供たちが明日の約束をしながら、名残惜しそうに手を振って家路へとついている。

それは、どこにでもある平和な光景だった。

ベンチに座ったまま空を見上げる。

太陽は西へと沈み、空にはちらほらと星が瞬いていた。

//雪乃
「はぁ……」

思わずため息が出てしまう。

いつもなら、私は学校が終わり次第魔力の特訓をしているのだ。

それが今日はずっとベンチに座っている。

『孕まされてしまうと、一時的に魔力は低下してしまうから、少し休養した方が良い』

それがサンタ少女に言われた言葉だった。

『夢憑き』とかいう男たちに犯されたショックもあり、私は休むことに反対はしなかった。

散々に犯されて体力も精神力も回復しきってはいなかったのでちょうど良かった。

学校から帰ったら家でゆっくりと休もう。

そう思ったはずだったのに、気が付いたら何故か私は公園で佇んでいた。

頬を撫でる風が冷たい。

そろそろ日が暮れる。

だというのに、私はベンチに座ったまま動かない。

//雪乃
「ふぅ……」

もう一度、深いため息をついてしまう。

考えなければならないことが山のようにある。

だけど、一体どれから手を付けたら良いのか、私にはもうわからなかった。

魔力を上手く使う為の特訓は自分でも順調だと思っていた。

化け物も上手く倒すことが出来たし、自分でもそこそこ出来る手ごたえは持っていたのだ。

だけど、『夢憑き』には全く敵わなかった。

ショックがないといえば嘘だ。

私は少なからずショックを受けていた。

自分の力はまだまだ戦闘をするには弱すぎる。

この前の敗戦は、私にそれを痛いほどわからせた。

陵辱された時の記憶が蘇ってしまい私の身体が震え、私は慌てて自分の手で身体を抱きしめる。

また負けてしまったら、あの地獄が待っている。

逃げ出したい。

何もかも捨てて逃げ出したらどれだけ楽になれるだろう。

//雪乃
「でも……それだけは駄目だよね……」

ポツリと、自分に言い聞かせるように呟く。

私が逃げ出したりしたら、サンタ少女一人が残されてしまう。

『それは、やっぱり、駄目だよね……』

私を化け物から助けてくれたのはサンタ少女なのだ。

それを見捨てるなんてことは私には出来ない。

そんな血も涙もないような非道な人間にはなりたくはない。

『それなら……私は一体どうしたら良いのかな……』

もっともっと強くなって、化け物や『夢憑き』と戦う。

それがサンタ少女の為にもなるし、もっとも現実的な方法だろう。

だけど、私は本当にもっと強くなれるのだろうか。

不安が蛇のように鎌首をもたげてくる。

自分は弱い。

それを痛感してしまった今では、特訓したところで本当に強くなれるのかどうかわからない。

いや、特訓すれば強くはなれるだろう。

だけど、強くなったとしても、それで化け物に勝てるという保障はどこにもないのだ。

//雪乃
「私は、一体どうすれば……」

全然考えがまとまらない。

自分がどうすれば良いのか、答えがでない。

サンタ少女は魔力もほとんど無いクセに、私を助けに来て一緒に犯されてしまった。

それは明らかに私のせいだ。

私がもっとちゃんと『夢憑き』を倒していればサンタ少女は私なんて助けにくる必要はなかったのだ。

弱い自分が足を引っ張っているのではないか。

自分がサンタ少女をより危険な目に合わせているのではないだろうか。

考えれば考えるほどに不安はドンドンと増大していく。

不安を取り除こうとしたところで、私には解決策が思い浮かばない。

気にすればするほどに、不安は益々大きくなっていき、私は思考の袋小路へと閉じ込められてしまう。

もう何が何だかわからない。

私の頭の中でグルグルと思考が渦を巻いていく。

//雪乃
「あーもぅっ!!」

自分自身に腹が立って、私は声を荒げてしまう。

わかってる、わかっているのだ。

ここでこんなことをしていたって、何も解決しないことなど。

//雪乃
「だったらどうしたら良いのよ、私はっ!!」

吐き捨てるように言い放った私の前に、不意に影が出来た。

私の声を聞きつけて、誰かが近寄ってきていたのだ。

『うわっ、は、恥ずかしい……』

どう言い訳しようかと、私は恐る恐る顔を上げる。

//雪乃
「あぅっ……」

だけど、その動きは途中で止まってしまった。

顔を上げる代わりに、私の口からは間抜けな声が漏れてしまう。

私の目の前にサンタ少女が立っていた。

//雪乃
「あ、あの……えーと……」

何をどう言っていいのかわからない。

一体いつから居てどこから私を見ていたのだろう。

恥ずかしいやら気まずいやらで、私はサンタ少女を見つめたままアタフタとしてしまう。

そんな私の様子にサンタ少女は軽く微笑む。

『うっ、わ、笑われたし……』

顔が熱くなるのがわかった。

きっと私は赤面しているのだろう。

//ネージュ
「大丈夫?」

//雪乃
「な、何が?」

//ネージュ
「なんだか、うーん、どう言ったらいいのか」

サンタ少女は顎に指を当てて何て言ったら良いのか考えている。

それはそうか、私でも自分が何をしていたのかなんて説明は出来ないし。

//ネージュ
「まぁとにかく、大丈夫?」

結局サンタ少女はそれだけを聞いてくる。

私も簡潔にコクリと頷いておいた。

//ネージュ
「そう、それなら良いのだけど」

そういって、サンタ少女はまたにっこりと笑う。

『どうしてこの人はこんなに強いんだろう……』

私の中にそんな疑問が浮かんでしまう。

『夢憑き』の男たちに犯されて、彼女だって化け物の子供を孕んでしまったのだ。

もっとショックを受けててもいいはずなのに、彼女にはショックを受けている様子は見られない。

私と同じように、気を失うまで何度も何度も犯されたというのに。

この強さは、一体どこからくるのだろうか。

それがわかれば、私も、もっともっと強くなれるのだろうか。

辺りが薄暗くなってくる中、私は凛とした姿で私の前に立っているサンタ少女を見上げる。

サンタ少女は私の意志を汲み取ったのか、優しく笑う。

そして、ゆっくりと口を開いた。

//ネージュ
「あのね、私もね、別に平気な訳じゃないのよ」

私の心を見透かしたように、彼女は私に向かってそう優しく口にした。





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聖夜乙女雪乃 三章(4)

//雪乃

「うぁぁっ……あ、あぅ……ううぅっ……」

男たちに輪姦されてどれくらいの時間が経ったのだろう。

私はいつの間にかに意識を失っていたらしく、意識を取り戻した時には地面に転がっていた。

辺りを見回すと、そこにはもう私を散々に陵辱した『夢憑き』の男たちの姿はなかった。

『よ、良かった……』

残された私は思わずそんなことを思ってしまう。

男たちの姿が見えないということは、もう犯される心配がないということだ。

//雪乃

「うくっ……」

私は立ち上がろうとして身体に力を入れる。

だけど、身体はブルブルと震えるばかりで私は立ち上がることが出来ない。

『も、もう少し休んでいた方がいいかな……』

立ち上がることを諦めて、私はゴロリと仰向けになる。

モノクロームの世界に閉じ込められているままなので、私の視界に移る空はモノクロームのままだ。

それはまるで今の私の心情を表しているかのように濁っていた。

ため息をついて、私は自分の身体の状態を確かめる。

身体は男たちの精液にまみれ、汚れていないところなどまるでない。

それどころか、何度も何度も膣内に出されたせいで下腹部には異物感があり重い。

『や、やだなぁ……やっぱり……は、孕まされちゃったのかなぁ……』

自分の腹部を撫でる。

たったそれだけでの動きだったのに、私の膣内からは精液が漏れ出す。

どうやら私の膣内には限界ギリギリまで精液が流し込まれているようだった。

//雪乃

「うくっ……くっ、ひっ……ひくっ……」

我慢しようとしても無理だった。

自分のボロボロになった姿を目の当たりにしてしまっては、私は瞳から涙が溢れるのを止められはしなかった。

//雪乃

「うくっ……ひっ、ひっくっ……うぅっ……」

涙が頬を濡らしていくけれど、私は立ち上がることさえ忘れて泣き続ける。

悔しさや悲しさといった感情がグチャグチャに混じり合い、私にはもうどうにもならなかった。

顔を覆って暫く泣いていると、私の目の前が暗くなった。

『夢憑き』が戻ってきたのかも知れない。

私は恐る恐る目を開けて、人影の様子を伺う。

そこには、私と同じようにボロボロになったサンタ少女が立っていた。

//雪乃

「ど、どうして……?」

//ネージュ

「だ、大丈夫?」

自分もボロボロのくせに、サンタ少女は優しげな笑みを浮かべて私の身体を心配してくれた。

サンタ少女も『夢憑き』の男たちによって陵辱されたのだろう。

彼女の身体の様子がそれを物語っている。

//ネージュ

「ど、どうしたの? やっぱりまだ辛いの?」

//雪乃

「ううん……」

私はどうにかそれだけをサンタ少女に伝える。

サンタ少女は私が無事なことに安心したのか、にっこりと笑ってくれた。

その笑顔に安心してしまった私はまたしても泣き出してしまう。

こんな色の無いモノクロームの世界で知っている人に会えた安心感がそうさせたのだろう。

自分の心の弱さを呪いながら、私は赤ちゃんのように泣きながら震える。

サンタ少女だって泣きたいはずなのに、彼女は泣いている私をずっと介抱してくれていた。

//雪乃

「ううっ……ひ、ひっく……わ、わたしっ……お、犯されっ……ちゃったよぅ……うっ……ひくっ……」

泣きじゃくりながら私はサンタ少女に訴える。

//雪乃

「いっ、一杯っ……な、なかにっ、だ、出されてっ……嫌なのにっ……い、いやって……言ったのにっ……そ、それなのにっ……うくっ……うえぇっ……」

意識があった時でも大量な精液を何度も何度も膣内に出されていたのだ。

しかも意識を失っている時も犯され続けていたとしたら、私はもう完全に『夢憑き』の子供を孕んでしまったことだろう。

嫌でもこの先のことが思い出されてしまい、私はガタガタと恐怖で震えてしまう。

//雪乃

「やだよぅっ……化け物のっ……こ、子供なんてっ……う、産みたくないっ……産みたくないよぅっ……」

//ネージュ

「大丈夫、大丈夫だから……」

サンタ少女はそう言って、私の腹部を優しく撫でてくれる。

たったそれだけのことなのに、私の下腹部の重さが少しだけ軽くなった気がした。

//ネージュ

「孕まされたのは辛いだろうけど、早く出さないと危険だから……」

サンタ少女は真剣な瞳で私を見て言葉を続ける。

//ネージュ

「いつまでも放っておくと、化け物がお腹を突き破って出てくる可能性もあるから……。だから、ね?」

サンタ少女の言葉に頷く。

私はまだろくに力の入らない身体にムチを入れてゆっくりと起き上がると四つんばいになる。

隣を見ると、サンタ少女も同じ体勢になっている。

彼女もまた『夢憑き』の男たちによって化け物を孕まされてしまったのだろう。

//ネージュ

「んくっ……ふぅっ……んんんっ!!」

サンタ少女が腹部に力を入れていきむ。

その途端に彼女の膣内からは大量の精液が流れ出してくる。

それは、サンタ少女も長い間『夢憑き』によって犯されていたことを如実に物語っていた。

//ネージュ

「うあぁぁっ……あ、あひっ……く、くふっ……ふぅぅうんっ!!」

ビチャビチャと精液の流れる音が私の耳に届く。

目を背けたかったけれど、そんなことできるわけがない。

サンタ少女は私に見本を見せてくれているのだ。

//雪乃

「ん、んくっ……く、くぅっ!!」

私も一緒になって下腹部から化け物を放出させようと下腹部に力を入れていきむ。

その途端に、下腹部からの激しい痛みが私を襲う。

私の下腹部でまだ出たくはないと化け物の子供が暴れているのだろう。

//雪乃

「ふぁぁぁぁぁっ!! あ、あぐっ……く、くふっ……んくっ……ひぎぃぃっ!!」

だけど、ここで痛みに負ける訳にはいかない。

横を見ると、同じようにサンタ少女も苦しんでいる。

サンタ少女だって苦しんでいるんだ、ここで私だけが逃げるわけにはいかなかった。

//雪乃

「ひぎっ!! ひぎぃぃっ!! んんんっ……くっ、はぁっ……くっ……ぎぃっ……うあぁぁぁっ……」

//ネージュ

「ひぐぅっ!! ひ、ひぁぁぁっ……く、くふっ……あ、あひっ……ひぃぃっ……んっ、んはぁぁっ……あ、あひっ……ひぎぃぃっ!!」

私たちの悲鳴が重なり、モノクロームの世界に私たちの絶叫が響く。

長い長い戦いの中、痛みに耐えていきんでいた私たちの膣内からようやく化け物が顔を出す。

//雪乃

「も、もう……す、少しっ……んくっ……はぁぁっ……ふっ、くっ……うぎぃぃっ!!」

大きく息を吸い込んで、私は下腹部に必死に力を込める。

化け物など産みたくはないけれど、産まないと自分の命が危ない。

//雪乃

「んくっ……こ、このっ……くっ……ふぅっ……う、うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

怒りにも任せた絶叫を上げ、私は下腹部に最大の力を込める。

残りの体力全てを注ぎ込んだ私の勢いに負けて、化け物が私の膣内から生れ落ちる。

//雪乃

「はぁっ……はぁっ……は、はぁっ……は、はぁ……」

荒い息を吐きながら、私は生れ落ちたばかりの化け物を踏みつける。

こんなもの生かしておく必要がない。

//雪乃

「このっ!! このっ、このっ、このっ、このっ、このぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

生まれたばかりの化け物は、あっさりと私の足の裏で潰れた。

だけど私は踏み潰すのを止めない。

化け物はすでに生き物の形を保てなくなり、もうただの肉塊と化している。

それでも私は憎しみに顔を歪めたまま踏みつけ続ける。

//雪乃

「このっ、このっ、この……うわっ、うわぁぁぁぁぁんっ!!」

自分で産んだ化け物を踏み潰しながら、私は泣いてしまう。

何で自分がこんなことをしなければならないのだろう。

何で自分が化け物の子供など産まないといけないのだろう。

何で何で何でと疑問ばかりが私の中に湧き上がっては消えていく。

私は、ただただ陰鬱な気持ちによって心を支配されながら、ずっと泣きじゃくっていた。



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聖夜乙女雪乃 三章(3)

//雪乃
「うぁ……う……うぅっ……」

暗かった視界が段々とクリアになってくる。

どうやら私は、男たちに乱暴されて意識を失っていたようだった。

//男2
「お、目が覚めたみたいだぜ」

耳元で男の声が聞こえる。

慌てて顔を上げると、私の股間には肉棒が挿入されたままだった。

//雪乃
「や、やだぁっ!! ぬ、抜いてっ、抜いてよぅっ!!」

//男1
「うおっ、いきなり暴れるなよっ!!」

突然暴れだした私を男たちが押さえつける。

まだ体力が回復していない私はあっさりと押さえ込まれてしまう。

//雪乃
「や、やぁっ……離してっ……離してよぉっ!! や、やぁっ……いやぁぁぁっ!!」

//男2
「意識失ったままの方が大人しくて良かったなぁ」

//男1
「そう言うなよ、これはこれでなかなか絞め付けてきてイイぜ」

//雪乃
「ひぁぁぁっ!! や、やだっ……そ、そんなっ……は、激しっ……うぁぁぁぁっ……あひっ……ひぁぁぁぁっ!!」

意識を取り戻したばかりだというのに、男は乱暴に私の膣内をかき回す。

その度にグチャグチュと私の股間から水音が聞こえてくる。

前に出された精液が肉棒によってかき回されているのだ。

//雪乃
「ふぁぁぁぁぁぁっ……や、やぁっ……も、ひぁぁぁぁっ……あ、あふっ……や、やめっ……ひぁぁぁぁっ!!」

//男2
「ひゃはははは、何を言ってるのか全然わからねぇ」

//男1
「そんだけ感じてて気持ち良いってことだよなぁ?」

//雪乃
「そ、そんなっ……んくっ、んんんっ……か、感じてっ……感じてなんかっ……な、ないっ……ふぁぁぁっ……あ、ひあぁっ……ふぁぁぁっ……」

口では否定していたけれど、悔しいことに私の身体は男の責めに反応している。

散々に犯されつくされ、私の身体はもう嫌でも快感を感じるようになってしまっていた。

//男1
「その割にはよぉ、いい声で鳴くじゃねぇか」

//雪乃
「ふぁぁぁぁぁぁっ!!」

男はニヤリと笑って、私の膣内の奥に肉棒を突き入れる。

たったそれだけのことなのに、私は甲高い声を上げて身体をくねらせてしまう。

//雪乃
「ひやぁぁぁっ!! お、おねっ、がいっ……も、やぁっ……やらぁぁぁっ!! こ、これ以上はっ……ふぁぁっ……ひっ、ひぁっ……ひぁぁぁぁっ!!」

//男1
「わかったわかった、すぐに精液で腹いっぱいにしてやるからもう少しだけ待てよ」

//雪乃
「や、やぁっ!! そ、そんなっ……ことっ、い、言ってっ……な、ないっ……ふぁぁっ……あひっ……ひ、ひあっ……んくぅっ……」

ラストスパートに向けて、男が激しく腰を動かし始める。

膣壁が男の肉棒でこすられていき、私は嫌でも痺れるような快感に襲われてしまう。

//雪乃
「ひやぁぁぁっ!! も、やらぁっ、いやなのっ……や、やぁっ……だ、誰かっ……た、たすっ……うぁぁぁっ……ふぁぁぁっ……ひやぁぁぁぁっ!!」

//男1
「くそ、そんなに絞め付けられたら……イクッ!!」

//雪乃
「ふぁぁぁぁっ……あ、あぁっ……や、いやぁぁぁぁぁっ!!」

男の腰が震え、私の膣内に精液が流し込まれる。

もう何度も流し込まれているとはいえ、いつまで経ってもこの感触にはなれない私は悲鳴を上げてしまう。

//雪乃
「やぁぁぁぁぁっ!! ま、またっ……な、なかでっ……でてっ……やぁぁぁっ……は、はぁ……ああああっ……」

流し込まれた精液が私の膣内へとたまる。

それまでにも流し込まれていた精液のせいで、私の下腹部は息をするのも苦しいほどに重くなっていた。

//雪乃
「うあぁぁぁ……あ、あぅ……ふぁぁぁっ……な、なかっ……あ、あついっ……よぅ……も、やぁ……こんなのっ……うそよぅ……」

ヒクヒクと私の身体が小刻みに痙攣して止まらない。

散々に犯されて、膣内にまでたっぷりと何度も精液を出されてしまった。

もしかしたら妊娠してしまったかも知れないと思うと、心が暗くなる。

『ま、また……膣内で……こ、こんなにっ……こんなに出されちゃったら……赤ちゃん、赤ちゃん出来ちゃうよぅ……』

私を襲った男たちは元は人間だ。

だけど今は『夢憑き』という化け物みたいなものだ。

そんな男たちの精液を受け止めてしまった私はどうなってしまうのだろう。

自らの境遇を呪い、私は瞳から涙がこぼれるのが止められなかった。

//男2
「これだけ出したら妊娠したかなぁ」

//男1
「完全にしただろ。 なぁ?」

私の顔を見て男が笑うけれど、私は何も答えない。

自分でもわかっているのだ。

男たちによって、私はきっと孕まされたしまったことを。

『やだ……ば、化け物の赤ちゃんなんて……う、産みたく……ないのにっ……は、孕まされた……なんて……や、やだぁ……』

悲しみに呆然としている私に、違う男が近づいてくる。

//男3
「さて、次は俺の番だな」

//雪乃
「ひっ……や、やだっ……来ないでっ……こ、来ないでよぉっ……」

必死に懇願する私を無視して、男は私を押さえつけると、肉棒を私の膣内へと挿入してくる。

//雪乃
「ひやぁぁぁぁぁっ!! やぁぁぁぁぁっ!!」

たっぷりと出された精液が潤滑油となり、私の膣は男の肉棒をあっさりと飲み込んでいく。

//雪乃
「もうやだぁぁぁっ!! お、お願いっ……ぬ、抜いてっ……抜いてよぅっ……もうやぁぁっ……いやなのっ……ふぁぁぁっ!!」

私の声など男は聞いてはいない。

ただ自分の欲望を満たす為だけに私の膣内をかき回していく。

//雪乃
「ふぁぁぁぁっ!! や、やぁっ、も、やぁっ……やめっ……ふぁぁぁっ……だめっ……やぁぁっ……たすけっ……助けてぇっ……ふぁぁぁっ……やぁぁぁっ!!」

//男3
「叫んだって誰も助けには来ねぇよ」

//男5
「だな、おら、あそこ見てみろよ」

男は私の頭を掴んで回転させる。

私の視線の先にサンタ少女が男に組み伏せられ、犯されている様子が目に入る。

『そ、そんなっ!!』

いきなり目に入ってきた光景に私は驚いてしまう。

どうしてここにサンタ少女がいるのだろう。

私がここで戦っているときはいなかった。

だとしたら、私が意識を失った後にここに現れたのだろうか……。

でも、何の為に。

そんなことは考えるまでも無い。

彼女は、サンタ少女は私を助ける為にココに来てくれたのだ。

自分にはもう魔力が残っていないにもかかわらず。

『ご、ごめんなさい……ごめんなさい……』

自分の不甲斐なさが悔しい。

どうして、どうして私はここでこんな見ず知らずの男たちに犯されなくてはならないのだろう。

『夢憑き』を倒せなかったのは私のせいだ。

だけど、そのせいでサンタ少女が犯されるのは間違っている。

間違ってるのに、だったら助けなきゃいけないのに、私にはその力がない。

悔しくて悲しくて、私は唇を噛む。

//男3
「どうしたよ、怖い顔して?」

男たちが私の顔を覗き込む。

//雪乃
「う、うるさいっ!! い、いいからっ……さっさとっ……わ、私をっ……解放しなさいよねっ!!」

キツイ目で男たちを睨みつける。

ここで私が頑張らないと、誰も助けられない。

//男3
「ははっ、チンコ入れられて喘いでいる奴が何を言っても無駄だよっ!!」

下卑た笑みを浮かべて、男が肉棒を激しく私の膣奥へと突き入れる。

悲しいことに、たったそれだけのことで私は快感に抗えずに口から声を漏らしてしまう。

//雪乃
「ふうんっ……んくっ……ふぁぁぁっ……あ、やぁっ……や、やめっ……やめろっ……やめろぉっ!!」

//男3
「おいおい、怖い顔だな。 そんなんじゃなくてさ、もっと感じてる顔見せろよ」

//雪乃
「ふぁぁぁぁぁぁっ!! や、らめっ……そんなっ……は、はげしっ……ひぁぁぁぁっ……あひっ……あふぁぁぁぁっ……やぁぁぁぁっ!!」

快感に簡単に負けてしまう自分の身体が情けない。

私の怒りとは裏腹に、私の身体は男の責めに喜んでいるかのように激しく反応してしまう。

//男3
「おら、イクぜっ!!」

//雪乃
「や、だめっ……こ、これ以上はっ……も、もぅっ……だ、だめっ……だからっ……ひやぁぁぁぁっ!!」

男の肉棒から大量の精液が私の膣内でほとばしる。

何度も味わった射精の衝撃が再び私を襲う。

//雪乃
「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!! ま、またっ……な、なかでっ……だ、だされてっ……こ、こんなっ……い、いっぱいっ……も、やぁ……やだよぅ……」

悔しい。

どうして私がこんな好きでも無い男達に犯されなきゃならないのだろう。

そして、孕まされないといけないんだろう。

考えたところで私にはわからないし知りたくもない。

だけど、このまま犯され続けるのは絶対に嫌だ。

//男6
「何を怖い顔してるんだ、次は俺だから愉しんで行こうぜ」

//雪乃
「や、やだっ……も、やぁっ……こ、こないでっ……や、やぁ……ふぁぁぁぁぁんっ!!」

休む間もなく、男の肉棒が私の膣内へと挿入される。

地獄のような時間はまだまだ終わりそうにはなかった。



posted by -Noel Valkyrie制作委員会- at 00:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 聖夜乙女-雪乃-