2014年01月10日

聖夜乙女雪乃 終章(1)

//雪乃
「気配はないわね……。そっちはどう?」

少し離れたところで敵の魔力を探っているネージュに声をかける。

私の声に気がついたネージュは、こちらを向いて渋い顔をしながら両手でバッテンを作る。

どうやら向こうにも収穫はないようだった。

//雪乃
「全く、会いたくないときには出てくるクセにいざ探すとなるとなかなか見つからないなんて」

ブツブツ言いながら、私はモノクロームの世界を歩き回る。

だけど、今日は化け物の気配を全く感じない。

何の収穫もないというのも、それはそれでイライラするものだ。

ついつい私の口からも汚い言葉が漏れてしまうのも仕方のないことだと思う。

//雪乃
「ちょっとあっちの方も見てくるねー」

//ネージュ
「あんまり離れるのは危ないよ」

//雪乃
「大丈夫、何かあったらすぐに大声だすから」

ネージュにそう告げて、私は化け物の捜索範囲を拡げる。

魔力を感じないというのは近くにいないだけなのかも知れない。

私たちの感知範囲の外にいたとしたら、魔力を感じないのも道理だ。

だったらこっちから移動して、感知範囲を拡げていけばいい。

ともかく、まずはネージュが遭遇したという化け物を見つけないと話は始まらないのだ。

//雪乃
「うーん、全然何も感じないわね……」

どんな些細な魔力も見逃さないように集中するけれど、やっぱり化け物の魔力を感じることは出来ない。

感じることが出来るのはネージュの魔力だけだ。

『今日はもう出てこないのかな……』

//雪乃
「最後にひとまわりして、それで駄目だったら諦めようかな」

テクテクと当ても無くモノクロームの世界を歩く。

いくら歩いても、自分以外に動いているものはいない。

化け物の魔力も感じない。

今日はもう諦めた方が良いだろう。

私がそう思っていると、不意に道の影からネージュが現れた。

//ネージュ
「そっちはどうだった?」

//雪乃
「収穫なし」

両手を広げてお手上げのポーズ。

//ネージュ
「こっちも、今日はもう諦めましょうか」

//雪乃
「そうね」

結局、この日の私たちは何も収穫のないまま現世に戻ったのだった。

それから数日間、私たちはモノクロームの世界と現実世界を行き来しているが化け物に出会うことはなかった。

すぐに見つかると思っていたのに、まさかこうなるとは思わなかった。

このままでは、もう一回挑戦出来るのかどうかも怪しい。

ましてや、弱点を探るために何度も遭遇など出来るのだろうか。

『う〜ん、元々表には出てこないタイプの化け物だったのかなぁ……』

ネージュが言うには強力な化け物だという話しだし、遭遇しないで済むのならそれに越したことはないのだろうけど。

だからといって、このまま遭遇しないでいるのもそれはそれで不安だった。

突然襲われたときの為に、一度は遭遇してどの程度危険なのかを確かめておきたいという気持ちもある。

//雪乃
「ああもうっ、出てくるならさっさと出てきなさいよっ!!」

//ネージュ
「わっ、な、なに?」

私の声に驚いたネージュが身をすくませる。

ネージュは私とは違って、飽きることなく集中して化け物を探している。

一度負けてしまったからなのか、私たちが探している化け物の恐ろしさを良く知っているのだろう。

//雪乃
「ご、ごめんなさい」

//ネージュ
「もう、驚かせないでよ」

//雪乃
「ごめんなさい、何の収穫もないからつい……」

ぺこりと頭を下げる。

//ネージュ
「そうね、今日も空振りみたいね……」

ネージュも苦笑しながら緊張を解いていく。

彼女も化け物の魔力を感知できなかったのだろう。

これでもう何日空振りが続いているのだろう。

いい加減に飽きてきてしまう。

//雪乃
「もう帰ろうか?」

これ以上探していても、目当ての化け物には会えるとは思わない。

私は背筋を伸ばしながらネージュに話しかける。

//ネージュ
「そうね、今日はこれまでにしましょうか」

ネージュも私の言葉に同意する。

彼女もこれ以上の探索は徒労に終わると思ったのだろう。

//雪乃
「今日も何も収穫はなし、と」

私たちは家に帰ろうと歩き始める。

その時、不意に私の下腹部で何かがモゾリと動いたような、変な感触に襲われる。

//雪乃
「えっ?」

思わず自分の下腹部に手を当てる。

だけど、触っただけでは違和感の正体はわからない。

//ネージュ
「どうしたの?」

私の声を聞きつけたネージュが、不思議そうな顔をしてこちらを向く。

//雪乃
「えっ、う、ううん、なんでもない」

とっさにそんな言葉が口をつく。

とはいえ、実際に自分でも訳がわからないので他に答えようがない。

ネージュに話かけられた時にはもう、下腹部の違和感は消えうせていた。

『な、なんだったんだろう……』

ネージュは特に気にする様子もなく、私の前を歩いていく。

違和感の無くなった私も、ネージュに続いて歩き始める。

//雪乃
「うぁっ……な、なにっ……またっ……」

再び下腹部を違和感が襲い、私はとっさに口を塞いでしまう。

こんなことで、ネージュに心配をかけるわけにはいかない。

『な、なに、これっ……こ、股間がっ……う、うずく……』

何もしていないというのに、私の股間がムズムズする。

痛いような痒いような、何とも言えない感触に私は思わず身体を震わせてしまう。

//雪乃
「く、くふっ……ふっ……」

『な、なにっ……なんなのっ……こ、これっ……』

何か知れないけれど、股間が疼く。

膣口が熱く痛み、自分の意思とは裏腹に私の股間が湿り気を帯びていく。

『や、やだっ……こ、こんなっ……』

下腹部の痒みが増していき、我慢できないほどの痒みが私を襲う。

不快感に我慢の出来なくなった私は、ネージュに気づかれぬようにそっと下腹部へと手を伸ばして股間を撫でる。

その途端、電撃が走ったかのような衝撃が私を襲った。

//雪乃
「きゃふ!!」

//ネージュ
「ど、どうしたの?」

私の声に気がついたネージュがこちらを向く。

//雪乃
「な、なんでもない……」

//ネージュ
「何でもないって言う割には顔が赤いわよ?」

//雪乃
「ちょっと、え、えとっ……そ、そう、風がね、首筋に急に吹き付けたからビックリしちゃって」

私は慌ててその場を取り繕う。

股間が痒かったからかいていたなんて、ネージュに言えるわけがなかった。

それに下腹部の違和感はもう消えている。

だったら、こんなこと恥ずかしくて言えないし、ネージュに伝える必要はないだろう。

//ネージュ
「本当に何でもないの?」

//雪乃
「も、もちろん」

//ネージュ
「それなら良いけど……」

私の言葉に何か釈然としないものを感じながらも、ネージュは再び歩き始める。

あれ以上何も聞かれなかったことに、私はほっとしてしまう。

『も、もう大丈夫よね……』

そっと下腹部を触る。

私の下腹部にはもうさっきのような違和感はなかった。

『いったい、何だったんだろう……』

違和感の無くなった下腹部をさすりながら、私はネージュの後についていく。

とはいえ、またいつ違和感が襲ってくるとも限らない。

『と、とりあえず、早く家に帰ってゆっくり調べてみよう……』

内心でビクビクとしながら、私は家路を急いだのだった。


posted by -Noel Valkyrie制作委員会- at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 聖夜乙女-雪乃-
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